団体ブログ
動物愛護×キャリア支援 海外の取り組み
Project POOCH(プロジェクト・プーチ)米国オレゴン州
「二度目のチャンス:見捨てられた犬が、見捨てられた若者を救う」
プログラムの概要
オレゴン州のマクラーレン青少年矯正施設で行われているプログラムです。殺人や強盗などの重罪を犯し、社会から「危険な存在」として隔離された14歳〜24歳の若者たちが、保健所で殺処分を待つ「問題行動のある保護犬」のトレーニングを担当します。
教育的効果(非認知能力の向上)
このプログラムの最大の特徴は、若者と犬が「鏡」のような関係になることです。
忍耐と自制心: 言うことを聞かない、怯える犬に対して怒鳴ることは許されません。自分の感情をコントロールし、犬が安心するまで根気強く待つことで、衝動性を抑える力を学びます。
自己肯定感の回復: 社会から否定されてきた若者が、心に傷を負った犬に信頼され、変化させる過程を通じて「自分には何かを変える力がある」「誰かの役に立てる」という強い自信を取り戻します。
共感性の獲得: 「犬も自分と同じように、予測できない恐怖や寂しさを抱えている」と気付くことで、他者の痛みに対する想像力(共感性)を養います。
実践的な職業訓練(自立支援)
単なる「癒やし」に留まらず、出所後の自立を見据えた本格的なスキル習得を重視しています。
専門技術: ドッグトレーニング、グルーミング、犬舎管理、ペットの救急救護などをプロから学びます。
社会的スキル: 里親希望者へのヒアリングや、犬の紹介文の作成、面談の対応など、実社会で必要なコミュニケーション能力を磨きます。
経済的自立: 一部の作業に対しては報酬が支払われ、それが被害者への賠償金や出所後の生活資金に充てられる仕組みもあります。
驚異的な成果
再犯率の大幅な低下: 1993年から1999年までの調査では、プログラム参加者の再犯率は0%(通常は半数近くが再犯すると言われる環境下で)という驚異的な記録を残しました。
里親決定率: 若者たちが「家庭犬」としてトレーニングを施した犬たちは、その質の高さから里親希望者が絶えず、次々と新しい家族に結ばれています。
Marley’s Mutts: Pawsitive Change Program 米国カリフォルニア州
https://www.marleysmutts.org/pawsitivechange
薬物依存や重病など「絶望からの再生」を体現している団体です。
背景: 創設者のザック・スコウ氏は、自身の薬物依存と末期肝不全の絶望から救ってくれたのが愛犬だった経験から、刑務所でのプログラムを開始しました。
特徴: 14週間の集中プログラムで、保護犬と受刑者が共に「Canine Good Citizen(愛犬のしつけ認定)」を目指します。
感情のコントロールやチームワークといった「非認知能力」の向上を、独自のカリキュラムと宿題で数値化して測定しています。
卒業生が、出所後にペット業界(トリマーやトレーナー)へ就職するための強力なネットワークを持っています。
New Leash on Life USA 米国ペンシルベニア州
「再犯防止(Recidivism)」と「雇用」に特化した、非常にビジネスライクな成功モデルです。
特徴: 犬の訓練だけでなく、「ライフスキル・ワークショップ」として、履歴書の書き方や面接の練習、金銭管理の授業をセットにしています。
驚異の成果: 通常33%と言われる再犯率が、プログラム参加者は約9%にまで激減。地元の動物シェルターでの「有給インターンシップ」の機会を確保しており、「業務委託」や「事務所での雇用」のロールモデルになります。
Underdog International(イギリス)
こちらは刑務所ではなく、「地域の子供・若者」と「保護犬」をむすぶ、コミュニティ型の事例です。
特徴:「Global Empathy Project」として、犬との触れ合いを通じて子供たちの共感性、回復力(レジリエンス)、自信を育む活動を世界展開しています。
「犬を救う」ことが、そのまま次世代の「心の教育」になるというメッセージで、企業や個人からの寄付を効率的に集めています。